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《ともし火》未来基準と成長

 

前回は第22回全日本タンブリング/ダブルミニトランポリン大会で見事、沖縄の地に優勝杯を持ち帰ったタンブリング男子の又吉選手の紹介でした。

今回は女子の覇者、北折愛里選手(順天堂大学/株式会社rainbow)を紹介。

過去5回の全日本優勝経験を持つ彼女は、小学生のころから世界で活躍し、タンブリング界ではヒロイン的な存在でもあった。

小学生で初制覇、中学時代も2度の優勝をさらい、早々とタンブリング界の新星として注目を浴びるも高校3年間は無冠の日々を過ごす。

確か彼女が小学生の時、New Zealandで開催された世界年齢別大会で戦っていた姿を今でも鮮明に覚えている。

海外初遠征、初の国際舞台。初めて尽くしの環境ながらも、真剣な眼差しで貪欲に練習するその姿が、今でも鮮明に脳裏に焼きついて離れない。

高校時代は苦杯の連続を強いられた彼女だが、小学生で初の日本代表に選ばれた時に活躍を約束すべく「未来基準」を手中にしていたのだろうと。

とは言え、人の成長は植物に似る。木は植え替えてばかりいると、大きくは育たない。

自身の根を大地におろし、コーチから水をもらい、家族からは陽をもらう。
そして周りの関係者から栄養をもらい年輪を刻む。

自分を信じ一心不乱に未来図を追い続けた人だけが味わえる境地なのだろう。

私自身、タンブリング競技の国際審判ライセンスを取得し、来年でちょうど20年の節目を迎えるが、これからもタンブリング界に微力ながら貢献できれば本望である。

来月初旬ポルトガルで開催されるW杯では、彼女の更なる活躍を期すと共に、夢のメダル獲得に向け、ワクワクが止まらない。

 

 インプレッション株式会社所属 イアスFSC代表
(公財)日本体操協会 トランポリン審判本部 副本部長
福井 直哉

 

《ともし火》選手の鑑、、、

 

去る6月2日(日)。

静岡県磐田市に学び舎を構える静岡産業大学を会場に、第22回目を数える全日本タンブリング・ダブルミニトランポリン大会が盛大に開催された。

タンブリング競技部門は、
☑ 男子選手:又吉 健斗
・・・スポーツクラブKenKen(沖縄県)※2回目の優勝

☑ 女子選手:北折 愛里
・・・順天堂大学/株式会社Rainbow(愛知県)※6回目の優勝

がそれぞれ杯を手中に収めた。

ちなみに二人とも今年3月に開催された全日本年齢別大会を制覇している。

今日のともし火は男子部門を制し、沖縄に初の優勝杯をもたらした又吉選手について。

 

彼は静岡産業大学時代、タンブリング競技では世界トップクラスを走る選手でした。

卒業と同時に現役を退き、父親の経営する地元沖縄のスポーツクラブKenKenにUターンし指導に携わる。

彼の父親も日本体操界で名を馳せた元国体選手である。

1年間クラブの選手たちを指導する過程で彼が感じとり行動したことは、父曰く「論ずるよりお手本」だったとか。Seeing is believing!

選手のとらえ方や理解度が十人十色、千差万別であり、言葉だけの指導に限界を感じ「お手本」を示し「非言語」指導で、その壁を見事に乗り越えた。

事実、今春3月の大会も含め、スポーツクラブkenKenは旋風を巻き起こし大躍進を果たした。

わずか1年の時空で、自身の現役復帰を優勝で飾り、クラブも全国トップレベルへと押し上げ導いたのである。

彼こそロールモデルでありタンブリング界をけん引する日本の若手リーダーでもある。

来月はポルトガルの地で世界トップと再び競い合うワールドカップへ参戦する。

決勝進出、そしてメダル獲得に想いが馳せる。

 

国際体操連盟タンブリング競技 国際審判員
(公財)日本体操協会トランポリン審判本部 副本部長
インプレッショングループ イアスFSC代表
福井 直哉